『激マン!』第5巻
今年初の更新になります。本年もマイペースで更新していきますので、よろしくお付き合いをお願いいたします。
さて、今回は最近読んだ漫画から『激マン!』第5巻(日本文芸社)の感想です。
本作は「漫画ゴラク」連載中で、永井豪の分身ともいうべき漫画家「ながい激」主人公にした自伝的セミフィクションです。 永井先生には御自身をパロディ化した「思い出のK君」や「氷壁の母」等の傑作短編がありましたし、永井ワールドそのものをパロディ化した上で、シリアスな大長編に仕上げた「バイオレンスジャック」もありました。本作はそうしたセルフパロディの集大成になりそうです。
物語は『デビルマン』最終章の執筆時にさしかかりました。すでに前巻から、飛鳥了が作者の構想を越えて暴走し始め、作者をして「こいつは何者なんだ」と言わしめています。そして、作者も知らなかった飛鳥了の意外な正体(『デビルマン』連載時は本気で驚きました)が劇的に描かれています。
永井先生自身が日本の将来への警告として『デビルマン』を描いていたというくだりは、現代から振り返った後付けがかなり入っていると思いますし、先生が飛鳥了の正体に思い当たるのが、「事件の展開に疑問を持った了が再び実家へ向かうシーン」を描いているときだったというのは「いくら何でも^^;」と思います。
とは言え、先付けであれ後付けであれ『デビルマン』に託された永井先生の主張には共感できる部分が多々あります。また、了の正体に永井先生が頭を悩ませる展開は、連載当時の了の秘密が明らかになっていく過程を追体験させるもので、結末を知っていてもぞくぞくしました。
そして何よりも、「雷沼教授の勘違いに煽られた世界各国の混乱」「デビルマン軍団の活躍」など、当時諸事情から割愛されたシーンが当時よりグレードアップした作画で読めるのは、嬉しいものです。(前巻での『デビルマンとデーモン軍団との東京決戦』も)
こうしたベテラン作家が現在の技術で若い頃の作品をリテイクしつつメイキングを語るという展開は、和田慎二先生が『怪盗アマリリス』の劇中劇で、『超少女明日香』第1作のメイキングを語りつつをリテイクしたときと似た展開ですが、本作はその路線をさらに本格的に追求しています。
最終戦争の舞台裏が描かれる次巻に期待です。
追記:『デビルマン』ラストの構想で作者の相談役になっているスタッフの菊池氏は、ネット検索したところ後年永井作品のノベライズなどで活躍する団龍彦氏がモデルとのことです。しかし、『激マン』では彼のキャラクターが妙に浮いている印象を感じます。ひょっとしたら、永井先生お得意の、「実録と思って読んでいたら実は…」という展開につながる人物なのではないでしょうか?
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